クラスや子どもにあった指導計画の立て方

保育士におすすめ

クラスや子どもにあった指導計画の立て方

みなさんは指導計画を書くのは得意ですか?

ノートと鉛筆

保育士として働いていたら一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。

指導計画といっても年間指導計画、月案、個別月案、週案、日案とその種類は様々です。

複数担任でクラスを持っている場合は月ごとに交代して書いたり、個別月案は半分に分けて書いたりすると思います。

さらにこれに児童表も入ってくると特に乳児はほぼ休みなく書類に追われることになるのではないかと思います。

今回の記事では指導計画の立て方のポイントについてお伝えしていきます。

指導計画の本やネットを丸写しすればいい?

指導計画を書こうとする際に参考書やネットで検索する人も多いのではないでしょうか。調べる事自体は悪くありませんが、気をつけなければいけないのは“丸写し”です。

積み上げられた本

私は副主任としていろいろな人の指導計画を添削していましたが、丸写しはわかります。なぜかというとその年齢の発達で予想されるような内容ではあるが、実際の子どもたちとはなにかずれているからです。

あくまで参考書やネットの文章はだいたいその年齢、季節に予想される一般的な発達に合わせて書かれています。

それが必ずしも自分の持っているクラスに当てはまるわけではありませんし、大前提として大元になるその保育園の“全体的な計画”から各クラスの“年間指導計画”、毎月立てる“月案(クラス全体)、個別月案(個人)”、毎週立てる“週案”、毎日立てる“日案”と全て繋がっていないと意味がありません。

全体的な計画を達成するために年、月、週、日とより具体的にねらいや援助方法を立てていくのです。

担任が作るのはだいたい年間指導計画からになると思います。

年間指導計画とは1年を3期~4期に分け、そのクラスが終わるまでにどのような成長を目標とするか、そのためにどのような活動や関わりをしていくのかを養護+5領域をもとに書いていきます。

この際のポイントは〇歳児クラスだからこのくらいできるようにしないと、と考えるのではなくそのクラスの子たちの可能性をどこまで引き出せるか、年齢ではなく子どもたちに寄り添って立てることです。

月案は年間指導計画で分けた3~4期の目標をさらに細かく養護+5領域に分けていったものです。だいたい半月が過ぎたころに翌月の月案を立てていくため、イメージとしてはその月の後半から翌月の前半までの分を立てるような形になる園が多いと思います。

そして週案です。週案では月案で立てたねらいをもとに立てていきます。

月案を立てる際に5領域の項目ごとにだいたい2.3個ねらいを立てるかと思います。

例えばそれぞれ3個ずつ立てていた場合、全部で15個のねらいができます。

1か月に週は5週ありますから、1つの週に3個ねらいをおろせば、月案で立てたねらいを網羅することができます。

つまりたくさん書こうとするのではなく、達成できる量やレベルのねらいを簡潔に書くことが大切です

PDCAサイクルを取り入れていく

指導計画を書く上で大切なことの1つにPDCAサイクルがあります。

PDCAサイクルの図

ねらいを立てていても、その月に達成しないこともあります。

その場合はそのねらいを翌月に持ち越しますが、重要なのは“保育士の援助を変えているか”です。

Plana(計画)を立て、Do(実行)し、Check(評価)をしなぜ達成できなかったのかを考えます。そして来月の援助・配慮としてどうAction(改善)していくか。それをクラスの子どもの発達や興味に合わせて柔軟に対応することが保育士の大切な仕事です。

具体例を出してみましょう。

例えば3歳児の人間関係の項目で“友だちや保育者とのやり取りを通して、自分の気持ちを言葉で伝える楽しさを感じる”というねらいを立てたとします。

保育士の援助は“保育者も積極的に言葉で思いを表現し、伝えあう喜びに共感していく”、環境構成は“子どもが話してる時は目を見て聞き、安心して話せる雰囲気を作っていく”とします。

達成できなかった場合

Check(評価)をする際になにが原因か分析します。

子どもの発達や興味がこのねらいに合っていないのか、保育者の関わりが適切でなかったのか。

前者の場合は、ねらいそのものを変える必要があります。このように変えるとどうでしょう。

“友だちや保育者との関わりを楽しむ中で、自分の気持ちを言葉で伝えようとする”

こうすることで表情や身振り手振りでのコミュニケーションを中心に言葉で気持ちを表現する初期段階のねらいに変わります。

先ほどのねらいより少し難易度が下がったのがわかりますか?このねらいが達成されたのちに、言葉で伝える楽しさが感じられるようになります。何事にも順序があるということです。

ではもしねらいは合っているが、保育者の関わりが適切でなかった場合はどう変えたらいいでしょう。

ねらいはそのままで、援助を変えます。

“子ども同士のやり取りを見守り、必要に応じて代弁をする事で伝わる楽しさを感じられるようにする”

最初の援助だと保育者も表現する側でしたが、子どもの表現を引き出したりわかりやすい言葉に言い換える事で、伝わる楽しさを感じてもらう援助方法にしてみました。

このように原因を分析する事で対応方法が変わってくるのです。

次にねらいを達成していた場合です。

Check(評価)は達成した。になります。この場合Action(改善)はどうしたらいいでしょうか。

これが月案の場合は年間指導計画、週案の場合は月案を元に、次のねらいを達成するためのねらいを立てます。

この時に気を付けたいのが、前回のねらいから発達が逆行しないようにすることです。

保育士ならだいたいの発達の流れを把握していると思います。前回より簡単な内容にならないように考えましょう。

今回の例では“友だちや保育者とのやり取りを通して、自分の気持ちを言葉で伝える楽しさを感じる”というねらいでした。

この次の発達のねらいは何になるでしょう。

“自分の気持ちを言葉で表現しながら、相手の気持ちも知ろうとする”などと自分発信だけだった内容から、相手が絡んだ内容に変わります。

このようにPDCAサイクルを用いることで、次のねらいが立てやすくなります

ただ闇雲に文章で埋めようとせず、どんなねらいが、どんな環境や援助が子どもたちの成長に必要かを考えてください。

それを繰り返すうちにどんどん計画を立てるのが楽になると思います。

5領域

年間指導計画や月案、個別月案などは5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)に分類して立てていきます。

そして先ほどの項目で触れたように達成できなかったものは翌月に繰り越すことがありますが、1つの領域のねらいが多くなってしまうこともあるのでないでしょうか。

基本的に5領域は繋がっています。どれか1つの項目だけに当てはまるねらいはありません。

例えば、先ほどの例で出した“友だちや保育者とのやり取りを通して、自分の気持ちを言葉で伝える楽しさを感じる”は人間関係のねらいとして紹介しましたが、言葉のねらいとしても表現のねらいとしても成り立ちます。

このように1つのねらいで様々な領域の要素を持っているのです。

なので前回人間関係のねらいだったからといって、次も同じにする必要はありません。

しかしその際は環境設定や保育者の援助をその項目にあったものに変えるのを忘れないようにしてくさだい。

私は保育士時代、指導計画の参考書ではなく“保育所保育指針の解説を見ていました。

全ての保育の大元ですし、とても参考になりましたのでおすすめします。

保育所保育指針の解説が買えるリンクを貼っておきます。持っていない人はぜひ見てみてください。


保育所保育指針解説〈平成30年3月〉

今回の記事はここまでです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

次回は行事の計画って難しい?これでばっちり!計画から実行までの流れについてお伝えします。

ぜひ遊びに来てくださいね♪

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